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蜜月

午前中、一太を近所の児童館に遊びに連れていってくれた彼。 一太を右腕に抱き抱え、お昼のお弁当を左腕にぶら下げ帰ってきた彼におっかなびっくり『両親に伝えてもいいかな?卯月さんと結婚したことを』そう書いたメモを見せた。 「勿論。その前に何か忘れていないか?」 呆れたように苦笑いされた。何も忘れていないはず。なのになんでこうも笑われないといけないのかな。 「一太、お弁当を並べてくれるか?」 「は~~い‼」 下に下ろしてもらった一太は張り切って彼のお手伝いをはじめた。 「俺達、夫婦だぞ。普通、下の名前で呼ばないか?」 今まで通り卯月さんじゃだめかな? 名前で呼ぶなんてめちゃくちゃ恥ずかしい。 「もしかして、俺の名前忘れたか?」 【忘れてない‼ちゃんと覚えてるし‼】 ニヤニヤと笑い、からかってくる彼に、半ばヤケになって、ひっきりなしに首を横に振った。 【は、る・・・さんでしょ。あれ!?はるってどう書くんだろう】 まさかの度忘れにみるみる血の気が引いていった。 「ほら、やっぱり忘れてる」 溜め息を一つ吐くと、指輪が嵌めてある左手に指を絡ませてきた。 彼の薬指にもお揃いの指輪。夫婦である証しに、裏にはお互いのイニシャルが刻印されてある。 書き方は緊張しまくって度忘れたけど、読み方はちゃんと覚えてる。 「・・・は・・・、る・・・さ、ん・・・」 お腹に力を込め一文字ずつ懸命に声を絞り出した。 「ままが、しゃべった‼」 お弁当を並べていた一太がびっくりして大きな声をあげた。

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