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蜜月

「てか、いつまでここにいるんだ?」 「邪魔はしていないはずです。むしろ感謝して欲しい。あなたが未知さんといちゃついている間、一太くんの面倒をみているのはこの私ですよ」 顔色一つ変えず唐揚げを淡々と口に運ぶ橘さん。 「あなたが未知さんを足腰立たなくなるまで抱いて、風呂に行っている間、部屋を片付けるのも私なんですよ。朝御飯の準備もそう。もし万一、未知さんが妊娠して悪阻が酷くて身動きが取れなくなったとき、あなたに出来ますか?家事、炊事、一太くんの世話。まだまだありますよ」 耳の痛いことを矢継ぎ早に言われ、流石の彼も何も言い返すことが出来ず、しょんぼりと肩を落として、黙々とご飯を口に運んでいた。 僕はというと、一太の前では絶対内緒の話しを持ち出されて。顔から火が出るくらい恥ずかしくて。どこを見ていいのか、一太と目を合わせることすら出来なくて俯いていた。 「口喧しい小舅かも知れませんが、あなたに助けて貰ったからこそ今の私がいるんです。一生かけて恩返ししていくと決めたんです。だから、ここを出ていくわけにはいかないんです。あなたが龍一家を辞めたあとの生活を支えるのも私の役目です。いい加減諦めてください」 橘さんは吹っ切れたかのように飄々としていた。 「未知さんは私が邪魔ですか?」 聞かれてすぐに首を横に振った。「じゃあ良かった」にこやかに微笑む橘さん。 反対に卯月さんは箸を口にくわえたまま、しばらく仏頂面していた。

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