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監禁

さっきまで監禁されていた場所へと戻ったけど、足がガクガク震えて怖くて中に入れなかった。 呼吸が荒くなり、息が苦しくて、その場にへたりこんだ。 「大丈夫か?未知はそこにいろ」 そんな僕を気遣ってか、茨木さんが少しでも恐怖を和らげようと、二人に命じ窓を覆っていた暗幕を取り外させた。 その間、茨木さんに手錠を外して貰った。 「お前ら片方ずつ、それを嵌めろ」 外した手錠を颯人さんの足元に投げ付けて、 「これは、未知が持ってろ」 鍵を手渡された。 「もたもたするな‼早ようせんか‼」 茨木さんの苛立った声に縮こまる颯人さん。 こんな怖い顔を見るの初めてで。 恐らく颯人さんもそうなのだろう。ビクビクしていた。 お兄ちゃんが右の手首に手錠をカチャッと嵌めると、颯人さんも観念したのか左の手首に手錠を嵌めた。 「お前ら少しは未知の気持ちが分かったか?尊さんよ、仮にもアンタ未知の父親だろうが。どこまで苦しめたら満足するんや。颯人もお前もだ。二人して、まずは未知に謝れ。それから旦那にもちゃんと謝まれ」 ラグマットに正座した二人が深々と頭を下げてくれた。 それを鋭い眼光でガン見する茨木さん。 それから、ようやく重たい口を開けた。 僕や、颯人さん、お兄ちゃんが知るよしもなかった事実を。茨木さんの悲しい過去を。

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