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神様ありがとう
あれ、ここは・・・?頭上の明るいライトに目を細めながら辺りを見回した。淡い色合いの壁紙、大きなブラインドが付いた窓・・・腕の点滴のチューブを見た時、ここが病院だとやっと気が付いた。
それにしても不思議な夢だった。
はるとくんっていう子に撫でてもらったお腹をそっと擦ってみた。まっ平らで何のへんてつもない。いつもと何ら変わらないぺちゃんこのお腹。
「未知、起きたのか?」
カーテンがサッと開いて彼が顔を出してきた。
「丸一日眠っていたんだぞ。このまま目を覚まさなかったらどうしようかと心配した」
彼がベットの脇に置いてある椅子に腰を下ろした。そわそわと落ち着きがなくて、その上目も合わせてくれなくて。よそよそしい。そんな彼を見て、橘さんなぜか笑いを堪えていた。
「二児の父親になるというのに・・・しっかりして下さい」
二児の父親って・・・?
すぐには言葉の意味を理解出来なかった。そしたら、声を上げて笑われた。
「空に浮かぶ虹の方でなく、子供が二人の方ですよ。未知さん、おめでとうございます。卯月の子を妊娠したんですよ」
へ・・・!?
にわかには信じられなくて。だって、自覚症状が全然なかったから。一太の時は微熱が続いたりして体調が悪かったけど。生理はもともと不順で、来ない事の方が多かったから。
そんなことよりも、彼がどんな表情をしているかそれが心配だった。妊娠しているのがほんとうなら、産んでもいいかな・・・遥琉さん・・・おそるおそるチラッと覗いてみた。
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