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神様ありがとう
「未知の好きなように呼んだらいい」
茨木さん、ううんお祖父ちゃんだ。
ありがとうってちゃんと言わないと。起き上がろうとしたら、彼に止められた。
「あんまり無理するな。未知一人の体じゃないんだぞ」
「卯月、妊娠は病気でも何でもないんですよ」
「そうなのか」
絶対わかってないですよね、その顔。橘さん頭を抱え込んでしまった。
「まま、あかちゃん?」
一太がおっかなびっくり手を伸ばしてきて、そっとお腹を撫で撫でしてくれた。
「一太、お兄ちゃんになるんだぞ」
「ほんと?」
「嘘付いてどうするんだ」
「あかちゃんうまれたら、いちた、じいじのとこなの?」
「一太・・・」
まさかそんなことを言うなんて。
彼も、橘さんも驚いていた。
「一太は、パパとママの子だろ?赤ちゃんが産まれてきても、ずっとずっと一緒だ」
彼の言葉に一太の表情がぱぁ~と明るくなった。
「ぼくね、あかちゃんのおせわする!」
「偉いぞ、さすがお兄ちゃんだな」
一太を不安がらせまいと、彼が笑顔で頭をいっぱい撫でてくれた。
遥琉さん、ありがとう。本当は僕の役目なのに。
「一太くんは、弟と妹、どちらがいいですか?」
橘さんの問い掛けに、両方!と即答した一太。
「いや、待て。それだけは・・・」
彼真っ赤になって、オロオロしていた。
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