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焼きもち妬きの暴走

その日の夜。一太と一緒に約束だったカレーをようやく作ることが出来た。 「ずっとママ、ママって、未知から離れなかったな」 一太を寝かし付けうとうとしていたら、彼がベットに潜り込んできた。 「一太だけじゃないぞ。未知がいなくて寂しかったのは」 彼の腕が前へと伸びてきて、そのまま広い胸へと抱き寄せられた。 「俺だって寂しかったんだぞ。心配で一睡もできなかった」 【ごめん、なさい】 肩にすりすりと頬を擦りつけ、顔を埋めてくる彼。息が首筋にかかり、ちょっとだけくすぐったい。 「こうしてると不思議なもんですごく落ち着くんだ。お帰り未知。ありがとうな、ちゃんと俺や一太のところに帰ってきてくれて」 恐る恐る、びくびくしながらお腹に触れてくる彼の大きくて温かな手。 「いまだに信じられないよ、俺の子がここにいるんだよな・・・まだ夢を見てるようだ。あぁ、そうだ、夢で思い出したんだが、俺、不思議な夢見たんだ。ハルトっていう男の子が手を握ってきて、未知や一太のところに俺を連れていってくれたんだ」 ハルトって・・・まさか・・・その名前にドキッとした。 【その子の夢、僕も見たよ。遥琉さんも見たの?】 「置いてかないで、ずっと一人で寂しいんだよって泣きながら言われてさ、なら、うちに来いって答えた。子供は何人いてもいいだろ?そしたら、にっこり笑って・・・ごめんな、そのあとのことはよく覚えていないんだ。もしかしたら、この子、そのハルトって子の生まれ変わりかもな。もしそうだとしたら、今度こそ幸せにしてやらないとな」 うん、大きく頷いて、彼の手の甲に自分の手を重ねた。 「もしかして、未知もその夢見たのか?そっか・・・」 嬉しそうにお腹を擦ってくれた。 「でもハルトっていう名前、自分の名前を呼ばれてるようで、背中がむず痒くなるがな。そうだな、チビハルとでも呼ぶか?女の子かも知れないし」 【チビハルってそのままんじゃない】 笑いが込み上げてきたけど堪えた。

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