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焼きもちの暴走
「それはそうと」
彼の声のトーンが一気に下がった。どうしたの?首を軽く後ろに捻ると、むっつりした表情を浮かべ、唇をぎゅっと一文字に結ぶ彼と目が合った。
「どこを触られた?」
はじめに唇を指先でツンツンと押された。
「もう一度聞く。颯人と、兄にどこを触られたんだ?まず、ここは?正直に言え。隠しても無駄だぞ。未知は思ったことがすぐに顔に出るタイプだからな」
遥琉さんの声、すっごく低くて恐い。もしかすると、焼きもち妬いてる?
「未知‼」一段と強い口調で呼ばれて。観念し、正直に小さく頷いた。
「そっか」
ギシッとベットが軋んで、彼が上体を起こした。真上から見下ろされる格好になった。
頤を掬い上げられた瞬間、唇に彼の唇が押しあてられた。
【んっ・・・!】
荒っぽいキスにびくりと肩が跳ねる。
【はる、さ・・・んっ‼】
怒りを露にして、ぶつけてくるような一方的な口付けに、目が涙で霞む。
怒られる覚悟はしていたつもりなのに。心が締め付けられるくらい切なくて、苦しいのはどうしてだろう?
「・・・ごめんな、泣かせるつもりはなかったんだ、信じてくれ」
チュッと濡れた音を立てて口唇が名残惜しそうに離れていった。
「ベビハルに焼きもちは嫌われるよって言われるな、これじゃ」
クスッと苦笑いし、親指の腹で目蓋の縁を拭いてくれた。
【遥琉さんが悪いんじゃない。僕が普段から気を付けていれば、警戒していればあんなこと起きなかったのに】
首を横に振り、彼の手首を掴み自分の方に引き寄せて、手の甲に唇を軽く押し付けた。
【遥琉さん、ごめんなさいは僕の方】
ちゃんと伝わるか不安だったけど。「ごめんなさいは、お互い様だったな」って彼。良かった通じて。でも、なぜか困惑していた。
「いやな、その・・・」
気まずそうに口ごもる彼。
「さっきの未知があまりにも可愛くて・・・ごめんな、収まりが効かなくなった。最後までしないから、いいか?」
彼、そう言うなり下へと潜り込んでいって。
あっという間に下着ごとパジャマのズボンを脱がされた。
【遥琉さん、待って・・・待っ・・・】
逃げないようにガッシリと腰を掴まれて引き戻された。
「ずっとお預けをくらっていたんだ。待てるわけないだろう。一太、いつ起きるか分からないし」
そんな・・・隣ですやすやと眠る一太の寝顔にチラッと目がいった。
お利口さんして寝ててね。今だ慣れない彼との行為。耳まで真っ赤にしながら、顔を逸らし目を閉じた。
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