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最終章 その後

「人それぞれみんな愛の形って違うと思うの。彼とは一緒になれないけれど、それでも私はこの子を産むつもり。昇龍会の跡取りとして育てていく覚悟を決めたの」 極道の女として組を守り、組と共に生きる。那奈姉さん、お祖父ちゃんにそう誓って、中澤さんと共に組を守り立てることになった。 「那奈さん・・・」 堪らず声を掛けた橘さんに、にこっと静かに微笑み返す姉さん。 「橘、心配しないで。そんなに柔じゃないから。そうじゃなかったら、兄を心の婿になんかくれず、代わりに跡を継がせていたもの。あぁ、見えてね未知」 突然話しを振られてキョトンとしてしまった。 「あの二人相思相愛なのよ。心はツンデレだから、表向き遥琉が好きと言いながら、実はうちの兄が好きでね。兄もそれを知っててわざと意地悪して。なんだかんだといいながら仲良いのよ。あの二人。ほら、噂をすれば」 カタンとドアが開いて、心さんと裕貴さんが姿を現した。手を恋人繋ぎして、ぴたりと寄り添う裕貴さんに、迷惑そうに眉をしかめる心さん。よくよく見ると頬が朱色に染まっていた。 「心が、どうしても遥香ちゃんに会いたいって言うから」 「ボク、そんなこと一言も言ってない」 むっとし、頬っぺたをこれでもかと膨らませる心さん。なんか、可愛い。

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