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番外編守り守られ生きていく
「未知さんや止めんでえぇぞ。遥香にやらせろや」
てっきり怒っているものだと思ったけれど。お義父さんは機嫌良さそうに笑っていた。
「じゃあ、コーヒーをお願いしようかな?」
「はぁ~~い‼」
来客は彼と同い年か、もしくは年上の男性。
苦み走った端正な風貌で、威厳を滲ませていた。
「しっかりとしたお嬢さんだ。普段からお母さんの手伝いをしているのがよく分かる」
褒められて恥ずかしいのか、照れ笑いし僕の腕の影に隠れてしまった。
「お名前は?」
「ハルちゃん」
「じゃあ、今幾つ?」
「にしゃい」
右手の人差し指と中指。2本の指をたて、そぉーと男性を見る遥香。
「じゃあ、有紗ちゃんとそんなに変わらないわけだ」
え⁉今、確か有紗ちゃんって。
何かの聞き間違いかと思ったけれど。
「自己紹介まだだったな。昇龍会の福井だ。あっ、そうだ」
男性はそこで一旦言葉を止めると、すぐ後ろに控えていた男性に、名刺を渡すように命じた。
見るからに高そうなクロコダイルの名刺入れからゴールドに輝く名刺を手渡され、一瞬固まってしまった。目を落とすと『昇龍会 組長 福井直』と書いてあった。
「まだ誰にも渡していない。チップ代わりに家政婦さんにやるよ。笹原、お嬢ちゃんにもくれてやれ」
笹原と呼ばれた男性が遥香にも名刺を渡してくれた。
チラッとその横顔を見た時だった。ざわざわと胸騒ぎがしたのは。
はじめて会うのに、どこかで会ったような気がした。
「どうした⁉」
怪訝そうに聞かれて、はっと我に返った。
「未知さんは口がきけないんだ」
お義父さんが然り気無くフォローしてくれた。
「そうか。それにしても見れば見るほど那奈によう似てる」
「当たり前や。未知さんは那奈の実の弟だ」
「・・・弟・・・!?」
男性の顔色が変わった。
「だから、未知さんは家政婦じゃなくて、遥琉の妻。秦や、那奈から何も聞いてないのか?」
「那奈と離婚して、年の離れた子と再婚してすぐに子供が産まれたとは聞いていたけれど・・・」
福井と名乗った男性は腰を抜かすほどびっくりしていた。
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