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番外編 大切な家族と歩む未来

心さんと他愛もない話しをして盛り上がっていた橘さんの目付きが急に変わり険しい表情になった。 「未知さん、今すぐ心さんの側に移動して下さい。心さんは何があってもハルちゃんの手を離してはいけませんよ」 橘さんも彼同様勘が鋭い。すぐにスマホを耳にあてると、別の部屋で待機している幹部を呼んだ。 「さっきから何かが変なんです。誰かに見られているような気がしてならないんですよ」 橘さんが部屋の中をあちこち見て回った。 「橘‼」他の幹部さんたちもすぐに駆け付けてくれて、隅から隅まで確認してくれた。 「未知、一太のところに移動しよう。そっちの方がここよりも安全だから」 心さんに促され、廊下に出た時だった。板張りの天井が突如として落下してきたのは。 咄嗟に橘さんが手を引っ張ってくれて事なきを得た。 遥香は心さんがしっかり守ってくれてたお陰で無事だった。 でもそれで危険が去った訳じゃなくて。 今度は、ぽっかりと穴の空いた天井から、全身黒ずくめの男が落ちてきた。 その手には鋭利な刃物が握られていた。 ニタニタと薄笑いを浮かべ一瞥すると、すぐにくるっと体を反転させ心さんと、遥香に向かって猛然と駆け出した。 橘さんが止める間もなかった。 時間にしてほんの5秒程度。 【遥香‼心さん‼】懸命に手を伸ばしながら、無我夢中で追い掛けた。 それ以降の記憶はプツリと途絶えて、あまりよく覚えていない。 ただチクリと脇腹に鈍い痛みが走ったのと、遥香のママ‼ママ‼と泣き叫ぶ声が同時に聞こえたような気がした。

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