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番外編 大切な家族と歩む未来
あれ、ここは・・・⁉
目が覚めたときベージュ色の天井と、柔らかな明かりが視界に入ってきた。
【はる、さん・・・?】
ずっと手を握り締めててくれたんだ。ありがとう。手をそぉーと伸ばし、寝ている彼の柔かな髪に触れようとして気が付いた。目が赤く腫れ上がっていることに。
【ごめんね、心配を掛けて】
「ん⁉未知、起きたのか⁉」
もぞもぞと彼の体が動く。
「お前は馬鹿か。みんな、心配したんだぞ」
怒りながらも急に泣き出した。
「あなたはもう少し優しい言葉を掛けられないんですか⁉」
カーテンが開いて橘さんが姿を現した。
「未知さん、ここは病院です。あなたは身を挺してハルちゃんと心さんを守ったんですよ。本当にあなたっていう人は・・・」
橘さんの目からも涙が溢れた。
だっていつもみんなに守ってもらうばかりで、何一つ出来ないから。
だから勝手に体が動いたんだと思う。
自分はどうなっても構わない。どうしても遥香と心さんを守りたかった。
「未知、ありがとうな」
彼の大きな手が髪を撫でてくれた。
「遥香と心を守ってくれて。親父も、裕貴も、秦さんも、茨木さんも、みんな未知に感謝していた。ごめんな、側にいてやれなくて。危ない目に合わせてしまって。本当にすまなかった」
ううん、大丈夫。こうして遥琉さんとまた会えたんだもの。だから、もう自分を攻めないで。
ゆっくりと首を横に振った。
『ここは病院です。お静かに‼』
廊下が何やら騒がしい。
「面会謝絶なのに、みんな駆け付けてくれたんだ。那奈と福井さんが、未知の両親を迎えに行ってくれて、事情を説明し、今こっちに向かってる」
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