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番外編 大切な家族と歩む未来

「完全に治っていないんだ。動かないで安静にしてろ」 彼の言葉に首を横にぶんぶんと振った。 「未知の気持ち、ちゃんと心に届いているから、なぁ、頼む」 彼を見上げると、優しい笑顔で、二度、三度大きく頷いてくれた。 「ほら」裕貴さんが、心さんの脇の下に手を差し入れよいっしょと体を起こし、椅子に座らせた。 「昇龍会は、福井が新しい組長に就任した。茂原は殺人未遂の現行犯で逮捕された。今回の件で、昇龍会は、手嶌組と縁を切った。未知、身内の揉め事に巻き込んでしまいすまなかった」 裕貴さんが、心さんと一緒に深々と頭を下げた。 本当にもう気にしていないから、お願いだから頭をあげて。 思い出すのも怖いけれど、そっか、あの人が、茂原さんだったんだ。 「手嶌組は、茂原の家族を人質にとり、那奈を利用し昇龍会を手に入れ、俺の家族を殺すように仕向けたんだ。監禁されていた茂原の家族は無事警察に保護された。那奈は福井と近いうちに籍をいれるらしい。有紗と、お腹の子は福井の子供として一緒に育てるらしい」 お腹の子って・・・⁉ 彼の言葉に一瞬耳を疑った。 あれ、言ってなかったか⁉って彼。 「今、妊娠五ヶ月らしいよ」 えぇー‼そんなの聞いてない‼びっくりしたのはいうまでもない。 「まぁ、那奈もなかなか言い出せなかったんだろう。決して悪気があった訳じゃないから許してやれ」 彼の言葉にうんと頷いた。 那奈姉さん今度こそ幸せになってね。 彼と裕貴さんが気を遣ってくれて心さんと二人きりにしてくれた。何を話す訳でもなく、お互い外の景色を眺めた。

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