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番外編 大切な家族と歩む未来
「千里、ほら、面会時間は8時までだから」
「アタシは奥さんに会いに来たの。少しくらいいいでしょう」
「未知は喋れないから」
「そんなの知ってます」
ベットの端に腰を下ろすと、長い足を組み、頬杖をついて、食い入るようにじっと見詰められた。
「彼からあなたのこと聞いて、すっごく会いたかったの。ねぇ、未知。アタシと一緒にショーに出てみない⁉」
数分後唖然とすることを言われ、笑顔が凍りついた。
千里‼彼と笹原さんが大きな声を上げた。
「頼むから冗談はよしてくれ」
「そんなのに未知を出せる訳ないだろう」
「冗談じゃなくて、本気よ」
しれっとして答える千里さんに、二人とも頭を抱えてしまった。
「男性でもない、女性でもない。未知にしか表現できないものがあると思うの」
千里さんの細長い指が伸びてきて、髪に触れたあと、顔の輪郭を遠慮がちにそろりと撫でられた。それを見ていた橘さんが、彼より先にツカツカと彼女に歩み寄り、手首をガシッと鷲掴みにし、高く掲げた。
「人のモノに気安く触るな」
真顔で目は完全に座っていた。
橘さんが本気で怒るの久し振りで見たかも。先を越された彼も驚いていた。
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