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新たな波乱の予感

「ねぇ、ねぇ」 千里さんにがっしりと手首を掴まれ、近くのテーブル席に遥香を脇に抱っこしたまま座ると、千里さんと心さんが割り込んできて、二人に挟まれる格好になった。 「千里、未知を返せ‼」 「やぁだ。奥さん同士仲良くしたいの」 彼に何を言われても全く動じない千里さん。さすがだ。 「遥琉はそっちでしょ」 カウンター席を指差した。 「遥琉、止めとけ。どう頑張っても口では敵わないぞ」 「裕貴の言う通りだ」 裕貴さんと笹原さんに手招きされ、渋々ながらもカウンター席に腰を下ろす彼。 「遥琉、いずれお前も二人みたく未知の尻に敷かれるぞ」 茨木さんが堪えきれずに吹き出した。 「ねぇ、未知。その子、本当に遥琉の子⁉」 頬杖ついてしばらく遥香の顔を眺めていた千里さんがぽつりと呟いた。 結婚式のときも、確か同じことを心さんに言われたような。 「千里もそう思った⁉実は僕もなの」 「えぇ‼心も」 二人はすっごく仲がいい。はたから見たら本当の兄弟。ううん姉妹みたい。心さんも楽しそうに声を立てて笑っていた。 「兄がなかなか未知に会わせようとしてくれなくてさぁ。三年よ、三年‼」 「僕も橘に千里のこと、固く口止めされてて、ずっと未知に言えなくて。すっごく辛かった」 二人ともここにいない橘さんへの恨みつらみを爆発させた。 思わね形で巻き込まれた遥香。目を丸くし口をぽかんと開けていた。

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