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番外編 それでも彼が好きだから
「ダーリンね、カレンに求婚して見事にフラれて。そんなにお酒が呑めないのに、べろんべろんになるまでやけ酒あおって。アタシをカレンだと思い込んでベットに連れ込んだのよ彼。朝になって酔いが冷めて、ようやく自分のしたことに気が付いて、額を擦りつけて謝ってくれた。アタシは好きな人に抱いてもらって、その人に、綺麗な体だねって言われてすごく嬉しかった。だって、ずっと自分の体が大嫌いだったから」
千里さんも僕と同じ被害者。
彼女の気持ちが痛いくらい分かるから、余計に胸が締め付けられた。
「でねその2日後に、ダーリンがプロポーズしてくれたの。あの恥ずかしがりやの彼が、ショーの最中にステージに駆け上がってきて、結婚しようってっていきなり抱き締められて・・・一緒にトラウマを乗りこえよう。俺には千里が必要なんだって、めちゃくちゃ格好良かった」
耳まで真っ赤に染め照れまくる千里さん。幸せオーラ全開。
《今もラブラブアツアツで羨ましいです》ってメモ帳に書いたら、
「何言ってるの。未知の方がアタシよりラブラブじゃない。真っ昼間からエッチして。いいなぁ~アタシもしたいなぁ~最近ダーリン、出張ばかりで、すっかりご無沙汰なのよね~」
笹原さんに聞こえるようにわざと大きい声を上げる千里さん。
「ねぇダーリン、うちらも子作りエッチしようよ」
聞かなかったことにしてやり過ごそうとした笹原さんにトドメをさした。
「せ、千里‼」
彼の動きがぴたりと止まり、笑顔が凍りついた。お義父さんには、きばってこいやと冷やかされ、その場に居合わせた若い衆の皆さんは一様に苦虫を潰したような表情を浮かべていた。
僕まで恥ずかしくなって、どこをみていいか分からなくなって俯いた。
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