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番外編 それでも彼が好きだから
「まま、はるちゃんいもうとほしい‼」
最初訳が分からずきょとんとして目をパチパチしていた遥香。千里さんが赤ちゃんが欲しいって連呼したものだから、遥香まで妹が欲しいを連呼しはじめた。もうこうなったら収拾がつない。どうしようかと悩んでいたら、一太と手を繋いだ彼が姿を現した。
「千里、お前の馴れ初めの話しはその位でいいだろう」
「えぇ‼何で‼」
ムスッとし唇を真一文字に結ぶ千里さん。
「お互い幸せならそれでいいだろう」
「まぁ、結婚4年目でも遥琉に負けないくらいアタシと、ダーリンもラブラブだし」
千里さんが笹原さんに笑顔で手を振った。
「なら、笹原の風俗通い、少しは目を瞑ってやれ。縦社会の中で生き抜くには付き合いも必要なんだ」
「それとこれとは別です。何でそうやって話題をすり替えるかな⁉」
風俗・・・通い⁉
笹原さんが⁉だって真面目しか取り柄がないってさっき言ってたよね?
首を傾げていたら、彼が説明してくれた。
「つい最近まで一部上場企業の信販会社でカードローンの審査の仕事をしていたんだ。転勤族で、全国の支店を転々としていた。今回の昇龍会の跡目相続争いで、今まで会社に隠していた素性がバレて、それで辞職に追い込まれたんだ。今は、福井の舎弟扱いになってる。だから、千里も、生活を支えるためダンサーに復帰したんだ。ヤクザとしてはまだまだひよっこだ」
彼の言う通り、びくびくしながら、いつでも逃げれるように、猫背になり、すり足で千里さんから少しずつ距離を取りはじめていた。
それを彼女が黙って見過ごす訳などなくて。すっと立ち上がると、眉を吊り上げて、ツカツカと笹原さんに駆け寄っていった。
「ごめんな、カレンのことずっと黙ってて。別れてから一度も会ってないし、連絡も取り合っていない。信じて欲しい」
弱々しい声で、彼が頭を下げてくれた。
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