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番外編 誰よりも愛しているからこそお前が憎い
彼と橘さんが下の様子を見に行っている間、服を拾い集め急いで身に付けた。まだ彼の熱が肌に残っていた。
【遥琉さん、大丈夫かな⁉】
なかなか彼は戻って来なかった。時間が経過するのがこんなにも長いとは。彼と一緒にいるときは楽しくてあっという間に過ぎるのに。
誰かの視線を感じゾクっと鳥肌が立った。
それは氷のように冷たくて。計り知れない憎悪に満ち溢れていた。
部屋の中を何度見回しても僕以外誰もいない。でも、気配はする。僕以外の誰かがいるのは確かだった。
何気に窓に目を遣ると風もないのにカーテンが揺れていた。寝る前に施錠したはずなのに・・・やっぱり何かがおかしい。
警戒しながらベットから下り、ドアへ急いだ。廊下にさえ出れば、若い衆が警備のために控えているはず。
「ーー未知……」
ドアノブに手を置いたときだった。
聞き覚えのある声がすぐ後ろから聞こえてきた。
最初空耳だと思った。だって彼には転居先を一切伝えていないもの。
でも、調べようと思えば、彼のことだからどんな手段を使っても調べるはず。
「未知………」
今度ははっきりと聞こえた。その瞬間、ぞくぞくと背筋に悪寒が走り、全身が総毛立った。
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