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番外編 新しい生活がはじまり、ママ友と出会い、そして・・・・

「いいよそのままで」 度会さんのうちに来てはじめて出来たママ友が様子を見に来てくれた。 彼こそ縣家のもう一人のお嫁さんであるナオさん。身長は僕と同じくらい。目がくりくりしててすっごく可愛い。人当たりが良くて、何かと面倒をみてくれる。 彼にはママ友じゃなくて、パパ友だろって言われたけれど。同じ二児のママ同士。すぐに意気投合して、仲良くなった。 「あら、晴と未来は?」 「一太くんとハルちゃんを早速見付けて、隠れん坊をはじめてしまって……すみません……」 ナオさんが申し訳なさそうに頭を下げた。 「子供は五月蝿いのが当たり前。うちの人、そんなのでいちいち目くじらを立てるような人じゃないわ」 「ありがとうございます」 度会さんは、いつも不機嫌そうに腕を前で組んでムスッとしている。この前、庭先で大騒ぎしていた子供たちの前に急に現れ、眉を吊り上げボソッと何かを言い残しすぐにいなくなった。 「顔が怖いのはもともとよ。だから気にしないで」 紫さんは姐さんというより、みんなのお母さん的な存在。威張る訳でもなく、若い衆を顎でこき使う訳でもなく、常に度会さんを立てて、自分は裏方に徹している。 「あら、そろそろおやつの時間ね。ナオさん、未知さんをお願いね」 鼻唄を歌いながら座敷を後にする紫さん。 一太と遥香に、紫しゃんのおやつさいこう!!とべた褒めされて以降、ホットケーキや蒸しパン、アップルパイなど、腕によりをかけて毎日手作りのおやつを作ってくれる。 「未知たちが来る前はね、作っても食べてくれる人が誰もいないって嘆いていたんだよ。今は、一太くんやハルちゃんが美味しいって食べてくれるから、紫さん、すっごくうれしいみたい」 ナオさんの話しを聞いているだけでも楽しくて。時間なんてあっという間に過ぎていく。

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