翌朝、久し振りに布団から出て広間へ向かった。先に橘さんが一太と遥香を連れていってくれて、度会さん夫婦や心さんと一緒にごはんを食べさせてもらっていた。 「未知さんもどうぞ座ってください」 橘さんに促され、一太と遥香の間に腰を下ろした。 「お粥なら食べれそうですか⁉」 橘さんに聞かれ頷くと、じゃあ用意しますね。そう言って席を立ち台所に向かった。 「人は変われば変わるもんだな」 新聞を読みながらコーヒーを啜っていた度会さんがふとそんなことを漏らした。 それから数分後･･･ 「オヤジ大変です‼」 血相を変え舎弟の一人がドタバタと駆け込んできた。 「朝っぱら喧しいぞ、何事だ‼」 度会さんの苛立った声が広間中に響いた。 「昨夜、大上組の拝島が若い男を数人引き連れて駅前をうろついていたようです」 「拝島が⁉そうか･･･」 度会さんが眉をひそめ唇を噛んだ。 「そのうちの一人が、本部から回ってきた手配書の男に酷似しているようです。警備を強化しますか⁉」 「いや待て、逆に怪しまれる。信孝を呼べ。未知や子供たちを避難させるのが先だ」 「はい」 それまで穏やかだった空気が一変した。 「未知、心、飯が済んだら急いで荷物を纏めろ」 度会さんがいつになく厳しい表情を浮かべていた。