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番外編 僕達家族を守るために彼が決意したこと
「心も未知も、いやぁ~可愛いな。両手に花の兄貴が羨ましい」
「ちょっと!!」嫌がる心さんの肩を強引に抱き寄せる弓削さん。上機嫌で缶ビールをあっという間に呑み干すと、何心なく僕のお腹に目を向けてきた。
「私の大事な未知さんとうちの子達に気安く触らないで頂けますか⁉」
指先が触れようとしたその瞬間。
その手をさっと払いのけたのは橘さんだった。
「弓削さん、お電話ですよ」
笑みを浮かべてはいるものの、目は全然笑っていなかった。
『弓削、俺の心にセクハラするとはいい度胸だな』
スピーカーに切り換えたスマホから聞こえてきたのは、凄みを利かせた裕貴さんの声。
『聞こえてるならさっさと返事しろ!!』
怒り心頭で怒鳴られ、肩をすくめる弓削さん。
「裕貴」堪らず、心さんがスマホに話し掛けた。
『心か⁉』
「うん」
僕と同じで橘さんに連絡しないようにと釘を刺されていた心さん。久し振りに大好きな裕貴さんに名前を呼ばれ、ぱぁ~と心さんの表情が明るくなった。
『愛してるよ心』
「もう、やだ。みんなの前でそんな恥ずかしい」
『今更恥ずかしがることじゃないだろ!?』
歯の浮くような裕貴さんの台詞に、照れてデレデレになる心さん。
「遥琉、いつもこんな感じなのか?」
呆れ顔で頬杖をついて眺めた柚原さんがボソッと呟いた。
「あぁ、結婚4年目でも、新婚のバカップルだよ。見てるこっちが恥ずかしくなる」
「そういうお前だって。14も年下のカミさんとラブラブで、人目も憚らずいちゃついているっていう話しを耳にしたぞ」
「人目も憚らずいちゃついているのは心と裕貴、それに笹原と千里の方だよ。未知は恥ずかしがりやなんだ。まぁ、それが可愛くて仕方ないんだが……愛しい妻と一太に引き合わせてくれた秦さんや茨木さんに感謝しないと」
恥ずかしくなるような台詞をさらりと口にする彼。
目が合うと、にっこりと蕩けるような甘い微笑みで返してくれた。
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