257 / 3262

番外編僕達家族を守るために彼が決意したこと

「あのな未知……」 ギュッと両腕で包み込むように抱き締められた。 「ちゃんと説明していなかっただろ?未知や一太や遥香を守るため、もう二度と危ない目に遭わせないために、一芝居打つことにしたんだ。現役に戻るのも一時的だ。だから少しの間だけ辛抱してくれ。あと、尊やカレンのことは俺に任せてほしい。刺し違えるとか危ないことは絶対にしないから」 【本当に……?】 見えない不安に押し潰されそうになりながら彼を見上げた。 「あぁ、約束する」 長い指に頤を掬われ、頬にチュッと口付けられた。 【は、遥琉さん!!】 不意打ちのキスに狼狽えていると、 「キスぐらい別にいいだろう」 ってにっこりと微笑んでいた。 「遥琉、そろそろ時間だ」脱衣所から橘さんの声が聞こえてきた。 「あと3分、未知と一緒にいたい」 「あなただけの未知さんではないんですよ。一人占めはこの私が許しません」 ダメ元で橘さんに必死に頼み込んでいた彼。 すると、ガラッと浴室のドアが突然開いて、バスタオルを手にした橘さんが入ってきた。 何度か裸は見られているとはいえ、たいがい意識が飛んでいるときで…… 顔から火が出るくらい恥ずかしくて。 身の置き場に困り小さく体をまるめた。 「ちょっと待て!!」慌てた彼が声を上げたけれど、橘さんの方が早かった。脇の下に音もなく両手が伸びてきて、気が付いた時には湯から引き上げられタオルでぐるぐる巻きにされていた。

ともだちにシェアしよう!