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番外編 橘さんの結婚
勤務先の保育所がいつなんどき大上組の標的になるか分からないから、何の罪もない小さな子供たちを巻き込むわけにはいかないと半月も前に辞表を出していた彼。
愛する家族を守れるのは自分しかいない。
その決意は揺るぎようもなかった。
二日後ーー
福井さんら本部の幹部との会合に参加するため、゛菱沼組の跡目゛として、度会さんや弓削さんと共に始発の新幹線で急遽上京した彼。
度会さんが居並ぶ幹部の前で事情を説明してくれて。弓削さんまで、遥琉の家族と新しい命を守るためだ、協力してくれと、皆さんの前で頭を下げてくれた。
橘さんと柚原さん、そして心さんに守られながら、子供たちと彼の帰りを今か今かと待ちわびていた。
「どうした橘。ため息なんかついて」
五分前に電話が掛かってきて、画面を見るなり無視を決め込んだ橘さん。
でもそのあともしつこいくらい着信音が鳴り響いて、仕方なく電話に出た彼。
「柚原、未知さんたちを頼みます」
事務所に知り合いが来ているからと、渋々ながら出掛けていった。
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