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番外編橘さんの結婚
あれ・・・⁉
二人のやり取りを眺めているうち、あることに気が付いた。
柚原さんの視線の先に、必ずといって橘さんがいた。はじめ、偶然かなと思ったけれど、彼の視線は橘さんへと向けられていた。
「一太、遥香、ママやままたんの言うことを聞いて、お利口さんしていたか⁉」
「うん、いちたおりこうさんにしてた」
「ハルちゃんも‼」
抱っこをせがまれ、笑顔で二人を抱き上げる彼。
「明日、度会のおじちゃんちに帰るぞ」
「え⁉ほんと⁉いちた、おじちゃんすき‼だっておもしろいんだもの」
「ハルちゃんも」
「いっぱい遊んで貰え。暗くなったら、ママを病院に連れていかないといけないから、ままたんと、お留守番してるんだぞ」
「はぁ~い‼」
元気いっぱいに返事した二人の頭を愛しそうに撫でてくれた。
「どうした未知⁉聞きたいことがあるって顔を書いてるぞ。何だ⁉」
見事に心の内を看破された。
「ん⁉どれどれ」メモ帳を片手にペンを走らせると、腰にピタリと体を擦り寄せてきて、手元を覗き込んできた。
「柚原さんは橘さんが好きなのって・・・随分とストレートに聞くんだな」
笑うことないのに。
何がそんなにおかしいのかな⁉
「ごめんな、笑って。鈍感な未知でも気が付くよな。その通り柚原は、橘が好きだ。俺が知る限りでは五年・・・いや、それ以上かも知れないが、ずっと片想いしている。当の本人は、『私には一太くんとハルちゃんという゛小さな恋人゛がいますのであなたとは付き合えません』と断っているらしいがな。それに・・・」
そこで言葉を止めると、今度は顔を覗き込まれた。
だから、何で笑うかな。
頬っぺたをこれでもかと膨らませた。
「普段のママも可愛いけど、怒ってるママも可愛いな」
「かわいい」
「うん、かぁいい」
遥香が両手が伸ばしてきて、頬っぺたにペタペタと触れてきた。
「まま、あかちゃん、めぇ」
「ベビハルたちが怖がっているぞ」
遥琉さんがイジワルするからでしょ。
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