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番外編 橘さんの結婚
しばらくの間柚原さんを見詰めたのち、リングケースに目を向ける橘さん。両手で持ち上げ、大事そうに胸の前で抱き締めた。
「二年前まではリングに、
l love you《愛してる》とだけ刻印してあったのに、去年は、
All want protect is you《君だけを守りたい》に変わって・・・あなたの想いが本当だと改めて知りました」
そこで一旦言葉を止めると、リングケースの蓋を開けた。
「これを私の指にどうしても嵌めたいなら、条件が三つあります」
「条件……⁉」
「ええ。まず一つは今の生活を極力変えないこと。未知さんの親代わりとして、一太くんやハルちゃんの母親代わりとして、側にいて支えてあげたいんです」
「まぁ、未知は妊娠中だし、一太や遥香の面倒見もあるからな……分かったよ」
「今日はやけに素直ですね。では二つ目ですが、もう2度と弾よけを引き受けない。そういう危ないことは、若い舎弟に任せて下さい」
「要は優璃専用の弾よけになれってだろ⁉喜んで引き受ける。で、三つ目は⁉」
「裏家業から足を洗うことです。今さらヤクザをやめろとは言いません。これがあなたの天職ですから、これからもずっと現役でいて下さい。その方があなたらしくて格好いいですから」
「随分と可愛いことをいうようになったな。分かった、条件すべてのむ」
リングケースから指輪を引き抜くと、橘さんの左手首をガシッと掴み、薬指にその指輪をほぼ強引に嵌め込んだ。
「ちょっと待て!!最後まで話しを聞け!!」
戸惑う橘さんにはお構いなしで、皆さんに見えるように高く掲げた。
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