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番外編 お兄ちゃんの歪んだ愛情

先週と同じように暗くなるのを待ってから、ながはらレディースクリニックを受診した。 彼と、橘さんと、どうしても付いていきたい‼と騒いだ千里さんと、微酔い気味の柚原さんも一緒。 それと大勢の若い衆の皆さん。 度会さんが、大事な跡目と未知をしっかり守ってこい‼とカツを入れて先週の倍の警護を付けてくれた。 一太と遥香は、紫さんと心さんがみててくれているから何も心配することはない。 酒宴は夜になっても続いてて、裕貴さんや、度会さんに呼び出された信孝さんが、かなりの酒豪らしい度会さんの酒の相手をさせられている。 「今日も随分と付添の方が多いですね」 永原先生も南先生も目を丸くしていた。すみません先週に引き続きお騒がせして・・・ 「申し遅れましたが、未知の夫の卯月遥琉です」 「永原です。こちらこそ宜しくお願いします」 彼と先生方が挨拶を交わしていると、 「未知の姉でぇす~~」 千里さんが三人の間に割り込んでいった。わざと臍が見えるように丈が短めのシャツに、お尻が見えそうで見えないデニムの半ズボン。そしてお気に入りの赤いハイヒールといった格好の千里さん。モデル並みの美しい曲線美の脚に、永原先生の目が釘付けになった。思わずみとれていたら、南先生がムッとして、先生の左足の甲を思いっきり踵で踏みつけた。 それを見ていた柚原さんが、 「俺も優璃に踏まれたい」 とぼそっと呟き、一瞬だけ場の空気が凍り付いた。 「柚原さん、ちょっといいですか」 目を吊り上げた橘さんが、むんずと柚原さんの耳を掴むとそのまま待合室の外へと引っ張っていった。

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