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お兄ちゃんの歪んだ愛情

「結婚おめでとう柚原」 吊り上がった冷たい目で嘲笑いながらスカルが突然、パチパチと両手を叩き始めた。 「何故それを知ってる」 「くくっ、俺らの雌鼠は地獄耳でね」 「お前の考えることだ。どうせ女を薬漬けにして操り人形にでもしたんだろう」 「ハハハ、それはどうかな⁉しかし驚いたよ。お前みたいな悪党が結婚とはな」 スカルが銃を構え、銃口を柚原さんに向けた。 「心配するな、お前の代わりに俺がその女、じっくりと可愛がってやるから。安心して死ね」 「悪いなスカル。新婚の妻を残して死ぬわけにはいかないんだ」 両者一歩も引かず。 睨み合いながら、引き金を引くのはほぼ同時だった。 パンパンと乾いた音が二回鳴り響き、そのあと更に二回、バンバンと鈍い音が連続で響いた。 橘さんが「柚原‼」とありったけの声で 叫びながら、ガクンと片膝をついて踞った柚原さんに駆け寄っていった。 お兄ちゃんとスカルが脇腹を手で押さえながら、ガバッと口から血を吐き出しその場に倒れ込んだのはほぼ同時だった。 物陰に身を潜めていた若い衆が一斉に飛び出してきて二人を取り押さえようとした。 スカルは最後の力を振り絞り立ち上がると、隠し持っていたもう一丁の拳銃とサバイバルナイフを高く掲げながら薄暗い廊下の奥へ逃げていった。 「追う必要はない」 後を追いかけようとした若い衆の背後からもう一人姿を現した。 この声ってまさか・・・

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