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番外編 お兄ちゃんの歪んだ愛情

「警察に包囲されている。逃げ場はない」 その人は無表情でお兄ちゃんの前にしゃがむと銃口を額にあてて、鬼の形相で睨み付けた。 「俺はこいつと決着を付けなきゃいけない。遥琉、茨木から昔言われなかったか。お前の手は未知や子供たちを守る為の手だって。こんな最低な男のために汚す必要はない」 「裕貴、お前・・・」 「シスコンなんだ、俺。那奈と未知二人の妹が目に入れても痛くないくらい可愛くてしょうがない。尊、俺の面よく覚えておけ。今後未知に指一本でも近付いてみろ。この額をぶち抜いてやるから覚悟しておけ‼」 凄みをきかせ脅す裕貴さん。ヤクザとしての姿をはじめて見た。 「未知は俺のモノだ‼」 なおも抵抗しようとするお兄ちゃんに対し、引き金に指をかける裕貴さん。 「未知はあんたの所有物でも玩具でもない。一人の人間だ。遥琉の妻で、一太や遥香の母親で、俺や親父、橘や心、千里や笹原、茨木、みんなの心の拠り所で癒しだ。おい柚原‼いつまで猿芝居しているつもりだ。橘といちゃつきたい気持ちは分かるが、他所でやれ‼」 猿芝居って・・・!? 裕貴さんに言われ、橘さんと柚原さんの方に顔を向けた。

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