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番外編 波紋
「あら、やだ~アタシったら~」
千里さんがいつもの千里さんに戻った。
「ダーリンに男は封印するって約束していたのに………バレたらお仕置きされちゃう!ちょっとみんな、頼むから聞かれてもナイショにしててよ。とくに柚原」
「何で俺!?」
名指しされた柚原さんがどきっとして千里さんを見た。
「口が軽いのは俺よりも弓削の方だろが」
不満を口にしながら銃をスーツの内ポケットにしまう柚原さん。
「何か呼んだか⁉」
弓削さんがひょっこりと中から顔を出した。
「パパ、ママ‼」
涙目で彼の手を握り締めていた一太が、すっと手を離し裸足のまま飛び込んできた。
「パパ、ママ。こわかったよ」
彼の胸に抱き付き、肩を震わせながらわんわんと大声で泣き出した。
「何!?どうしたんだ」
状況がいまいち飲み込めず彼と一緒に一太を宥めていると、
「子供に銃を向けるなどもってのほか。バチが当たるわよ」
怒り心頭の様子で紫さんが姿を現した。
遥香もまた橘さんにしがみつき、わんわんと大声で泣いていた。
「こっちにも男が二人押しかけてきて、一太と遥香を捕まえようとしたんだ。でも、姐さんや橘が身を挺して守り、男たちを蹴散らした。俺らの出る幕はなかった」
弓削さんの言葉にはっと息を飲む柚原さん。
「柚原さん、今来られても手一杯なので無理ですよ。心さんの側にいてあげてください」
「そんな・・・」
てっきり褒めて貰えると思っていただけに、まさかの塩対応にしゅんとして項垂れ肩を落としていた。
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