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番外編 襲名式
「パパ、かっこいい‼」
「ぱぱ‼」
一太と遥香がパタパタと足音を立てて座敷に入ってきた。
「一太もハルちゃんも、走ったら危ないから」
柚原さんが慌てて追い掛けてきた。
「すっかり子守りが板についたな柚原」
「二人とも素直で可愛いぞ。お前の子供だということが未だ信じられないがな」
一太と遥香にぱぱたんと呼ばれることが嬉しいみたいで、悪阻が酷くて何も手につかない僕の代わりに、二人の面倒を率先してみてくれている。
一度ならず二度も怖い思いをした一太と遥香。あれから大人の男の人を見ると酷く怯えるようになってしまった。
菱沼組の皆さんでさえ、最初は怖がって近付くことも出来ず、一太は僕や彼の背中にすぐ隠れていた。遥香は橘さんや柚原さんにべったりで片時も離れようとしなかった。
ようやく最近になって、おっかなびっくりだけどおじちゃんと自分から声を掛けられるようになった。
「一太、遥香おいで」
両腕を大きく広げる彼。二人とも大喜びで飛び込んでいった。
「未知もおいで」
見惚れるくらい男らしく格好いい彼に笑顔で見詰められ、胸のどきどきが止まらなくなってしまった。きっと耳まで真っ赤になってる。
【遥琉さん、その笑顔反則だから‼】
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