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番外編 襲名式
「あっ!もしかしてオレかな!?」
「あと誰がいるんだ。頼むからしっかりしてくれ」
「ハハハ、ごめん」
頭を手で掻きながら、
「初めまして。和泉です。えっと………柚原とはだいぶ昔、義理の兄弟だったんだ」
「それも大事だが。もっと大事な事を言い忘れているぞ」
「あぁ、そうだった。すまない。同じく宮城にある吉柳会で若頭の補佐をしている。遥琉がいつの間にか父親になっていたからほんとに吃驚した。それに柚原がまさか同性婚していたとは予想外で……」
「まぁ、それぞれの恋女房に会えたんだ。わざわざ来た甲斐があったというもんだろ」
「あぁ」
ゲラゲラと豪快に笑い飛ばす鷲崎さんに対し、和泉さんは控え目に笑っていた。
「和泉、広間に戻るぞ」
「悪いが先に行っててくれないか?」
「あ!?」
鷲崎さんの動きが止まった。
和泉さんと柚原さんを交互でしばし眺めたのち、
「好きにしろ」
そう言い残し広間へ一人で戻っていった。
「君の隣に座ったら、遥琉に焼きもちを妬かれちゃうね」
照れながらも腰を下ろす和泉さん。
「たく、しょうがないな」
ぶつぶつ言いながら体を起こす柚原さん。ラブラブっぷりをわざと見せびらかすように橘さんの手を握り締め、そっと肩を抱き寄せた。
「どいつもこいつも新婚生活の邪魔をしやがって。悪かったな結婚して。相手が男で」
「いや、そういう訳で言ったんじゃない。誤解させたみたいだね。ごめん」
軽く頭を下げる和泉さん。
「未知くん………じゃないか、未知さんか。オレね、彼の姉の、茜音の夫だったんだ。妻が亡くなったあと、色々あってね。鷲崎さんに助けてもらって彼の口利きで吉柳会に入ったんだ」
「コイツも元々はカタギだ」
「随分と昔の話しだよ」
ほんの一瞬だけ翳りのある笑みを浮かべる和泉さん。
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