『一体どういうつもりだ⁉メールなんか寄越しやがって』 電話越しでもハッキリと分かるくらい苛立っていた。 『おい、柚原‼黙っていねぇで何か答えろ‼』 しかも僕を柚原さんだと勘違いしている。メールの最後にちゃんと゛卯月未知゛って書いたのに。 『老眼で細かい字が読めねぇから、メール寄越すなら、スマホじゃなくてパソコンの方に寄越せって言ってるだろうが。喧嘩売ってるのか』 答えたくても答えられずにいたら、大声で怒鳴られた。 「未知は喋りたくても喋れないんだもの。仕方ないでしょ」 みかねた千里さんが僕の代わりに電話に出てくれた。 『その声は千里か』 さっきまで怒っていたとは思えないくらい声が弾んでいた。 「この前はどうも」 『明後日のショー、出るんだろ？』 「まだ決めてないの。妹の体調次第」 『そっか……』 落胆したのか声のトーンが一気に下がった。