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番外編 拗れた片恋
「直ちゃんからの手配書、そっちにも回ってるでしょ」
『あぁ、吉柳会と手分けして県内の温泉地を片っ端から捜しているが何せ数が多いからな』
「七海ちゃんは大上の近くにきっといるから、絶対に捕まえて。七海ちゃんに復讐は似合わない。茜音さんの分も生きなきゃバチがあたるって、やっと過去を吹っ切ろうとしていたのよ。鷲崎さんお願い。七海ちゃんを止めて」
涙声で言葉に詰まりながらも必死に訴える千里さん。鷲崎さんの心にその声が届くようにただ祈るしかなかった。
僕も何か出来ることをしてあげたい。
悪阻が酷いっていってる場合じゃない。
【鷲崎さん、和泉さんを見付けたら怒らないで、真っ先にぎゅっと抱き締めてあげて。それだけでも大切に想う気持ちは和泉さんにきっと伝わるから。僕も、辛いときや悲しいとき、子育てで悩んでいるとき、彼が何も言わず抱き締めてくれて・・・涙が出るくらい嬉しかったから】
メモ帳に走り書きした内容を千里さんが代読してくれた。
『悪い、未知に代わってくるか⁉』
「さっきみたくいきなり怒らないでよ」
『分かってるって』
千里さんにスマホを手渡された。
『さっきは怒鳴ったりしてすまなかった。千里や未知の言う通りだ。気付いてやれなかった自分がバカだった。和泉とちゃんと向き合うよ。千里や未知に顔向け出来ないからな』
良かった。僕たちの声が鷲崎さんの心に届いて・・・
【年下の癖に生意気な事を言ってすみません。今度こそ和泉さんの手を絶体に離さないでね】
これは読まなくていいから、片手でくしゃくしゃに丸めようとしたら、千里さんに先に読まれてしまった。
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