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番外編 お願いだから、和泉さん生きてて

『未知、落ち着いて聞いてくれ。大上が滞在していた関東のとある温泉地で殺された。撃った和泉もとどめをさす前に九鬼総業の若い連中に肩を撃たれ、その場から逃げ出し消息不明だ。鷲崎組や吉柳会が総出で必死になって和泉を探している。昇龍会も会上げて和泉を探している。恐らく彼が向かっているのは遥琉や、未知のところだろうって、オヤジが……』 覚悟はしていたつもりだったのに。 和泉さんに何もしてあげられなかった悔しさから涙が滲み、掌へと零れ落ちた。 『かなりの深手を負っているようだが生きているのは確かだ。未知、大丈夫か⁉』 うん、スマホを握り締め何度も何度も繰り返し頷いた。 「笹原さん、かわいい妹をあまり泣かせないでいただけますか?」 ふかふかの毛布が肩に掛けられ、びっくりして上を向くと橘さんがいた。 バスローブの下は何も身に付けていない。そのことにすぐに気が付き、真っ赤になりながら慌てて毛布を手繰り寄せた。 「妊娠初期は感情のコントロールが出来なくて、些細なことでもイライラしたり、涙もろくなるものなんですよ」 『そうなんだ』 「えぇ。出来ることならそっとしておいて欲しかったんですが………」 橘さんは痴態を晒す僕を見ても、表情一つ変えなかった。 「遥琉は事務所にいます」それだけ言うと一方的に電話を切ってしまった。 「しかし毎回毎回、中途半端で放置されて、未知さんも大変ですね」 橘さんがクローゼットから新しい下着とパジャマを持ってきてくれた。

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