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番外編 僕の想いがどうか届きますように
隣県の中核市であるS市は、九鬼総業の二次団体である宇賀神組と、昇龍会の直参である九条組がシマを張ってる。
僕らが着いた時、その九条組の皆さんが総出で出迎えてくれた。
秦さんからは、姪が行くから面倒をみてくれと。福井さんからは、妹が行くから宜しく頼むと、直々に連絡があったみたいで、組長さんまでわざわざ顔を出してくれた。
駅から少し離れた商店街の一角にポツンと建つ荒廃したアパート。その一室に和泉さんがいた。
「柚原、何で来たんだ。しかも身重の未知まで連れてきてどういうつもりだ」
薄い布団に踞るように横たわっていた和泉さん。顔は赤黒くパンパンに腫れ上がり、息をするのも辛いのか、苦悶の表情を浮かべていた。
「未知は、お前と鷲崎に幸せになって欲しいと誰よりも願ってる」
「嘘だ、そんなの・・・」
ごぼごぼと口許を手で押さえ激しく咳き込む和泉さん。
その手は血で真っ赤になっていた。
居てもたってもいられず彼の側に駆け寄ったものの、
「頼むからほっといてくれ」
顔をそらし目を合わせてくれなかった。
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