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番外編 横恋慕

「妊婦をどうにかしようなんて考えてねぇよ」 あくびをしながら眠り眼を手の甲でごしごしと擦る鳥飼さん。 「喧しい女はどうも苦手なんだ。未知みたいな物静かな子が……ーー」 そこまで言うと急に静かになった。 おっかなびっくり顔をそぉーと覗き込むと、すやすやと穏やかな寝息を立てて眠っていた。 彼以外の大人のおとこのひとの腕の中にいる。 やましいことをしている訳じゃないのに、そわそわと落ち着かなくて、結局一睡も出来ないまま朝を迎えた。 窓のない部屋だと思っていた暗い部屋に小さな高窓があったのか、朝の光が射し込んできた。 「うっ・・・ん」 寝言を口にしながらゴソゴソと身動ぎする鳥飼さん。 シャープな輪郭に、描いたようにくっきりと濃い弓形の眉が、彼の男らしさを際たださせているようだった。 女性なら絶対にほっとかない。それなのに…… 「ジロジロ見るんじゃねぇよ」 固く閉じていた目蓋がゆっくりと開き、毛布ごと抱き締められた。 「これでも我慢してんだ。襲いたくなるだろ⁉」 ニヤリと口角を上げ、下肢をぐりぐりとお腹に擦り付けてきた。 【と、とりかいさん‼】 彼のはすでに熱を帯び、布越しでもハッキリ分かるくらい堅くなっていた。 【昨夜言ったことは嘘だったの⁉】 耳まで真っ赤しぶんぶんと首を横に振った。 僕には遥琉さんがいるの‼ 遥琉さん以外の男性(ひと)とは死んでも絶対嫌‼ 抵抗しても無駄だと分かっていたけれど、何もしないよりはましと、彼を睨み付け、手をグーに握り、胸をぽんぽんと叩いた。 「怒った顔もなかなか可愛いな」 って全然懲りてない。

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