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番外編 横恋慕
その時、気のせいかも知れないけれど、すーと襖が開く音が聞こえてきた。
「優璃の雷が落ちる前にセクハラ行為、止めたらどうだ!?」
柚原さんの凜と張り詰めた声に、びくっと鳥飼さんの肩が震え動きがぴたりと止まった。
「勝手に上がり込んで、未知の布団に潜り込んで、遥琉に殺されるぞ」
「俺……ーー」
そこで言葉を止めると、にこっと微笑んで大きな手で優しく頭を撫でてくれた。
「泣きながら大上にとどめを刺したあの女の気持ちがよく分からなかった。今だから言えることだが、虫けらのような最低な男でも心底惚れていたんだな、きっと……」
カレンさんのことだろうか。
「俺みたいな男でも人を好きになれるんだな。未知、嫌な想いをさせて悪かった」
すっと腕が離れ、鳥飼さんがむくっと上体を起こした。
「遥琉より先にお前に出会いたかった」
真摯な眼差しで見詰められ、改めて想いを告げられ、どきっとしてしまった。
「あのな、鳥飼………」
柚原さんの呆れた声が聞こえてきた。
「人妻を口説くなって、優璃に言われなかったか!?」
「いつそんなこと言ったんだ?」
「はぁ!?」
しれっとして答える鳥飼さん。悪びれる素振りを見せることなく余裕綽々で。
さすがの柚原さんも返す言葉が見付からなかったみたい。
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