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番外編 人質
差し出された彼の手を掴もうとしたらガシッと鳥飼さんに手首を掴まれた。驚いて見上げると哀しげな眼差しで見詰められた。行かないで欲しい、目がそう訴え掛けているようだった。
「橘や裕貴にくれぐれも怒るなって念を押された。未知を拐ったのにもきっと色々と事情があるんだろうって聞いて。それなら今回の件は目を瞑ろうと思ったんだが・・・・」
そこで言葉を一旦止めると、鳥飼さんの手の甲を鷲掴みにし、僕の手首から強引に引き剥がした。
「随分と好き勝手にしていたようだな。未知に触れていいのは俺だけだ。ベタベタと人のモノに気安く触るんじゃねぇ」
凄みながら怒気を強める彼。目は完全に座り青筋を立てて怒っていた。
「未知に構っている暇があるならさっさと睦を迎えに行ってやったらどうだ。約束の時間に遅れるぞ」
「いちいちお前に言われなくても分かっている」
鳥飼さんが彼の手をピシャリと叩き払い除けた。
床に踞る部下の手首を掴むとそのまま廊下へと引っ張っていった。
【あ、あの・・・・】
二人きりになり非常に気まずい空気に包まれた。
好き勝手にされていた僕が一番悪い。謝るからそんなに睨まないで欲しい。
「羊みたいにモコモコして可愛いな。そのパジャマ」
【へぇ⁉】
てっきり怒られると思っていたから、彼から掛けて貰った言葉に驚いた。
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