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番外編 人質
「あれ、なんだっけ……ほら遥香がよく耳に付けてる……」
僕の頭の上に両手を置いてなぜか兎の真似をする彼。
「思い出した!カチューシャだ。絶対未知に似合うと思うよ。買って帰ろう」
彼の逞しい二の腕が腰に回ってきて。
ふわりと体が宙に浮いた。
【は、遥琉さん!】
突然のことに驚いて彼の首根っこにしがみついた。
そのとき初めて彼も同じネックレスを身に付けていることに気が付いた。
「何を驚いてるんだ?」
彼に聞かれネックレスを上に掲げた。
「もしかして今頃気がついたのか?」
正直にうんと頷くと、あのな未知………溜め息をつかれた。
「天然なのか、鈍感なのか。困ったもんだ。まぁ取り敢えず九条組の事務所に帰ろう。一太と遥香が首を長くして待ってるから」
ゆっくりとした足取りで歩き出す彼。
部屋を出たところで何かを思い出したように急に立ち止まった。
「ごめんな未知。連れてこれなくて」
【ん?なんのこと?】首を傾げた。
「だからラブホに連れてこれなくてごめんな。安定期に入ったら連れていってやるから。あっ、そうだ!ガラス張りの風呂があるところ、探しておかないとな」
彼の瞳が愉しげに笑っていた。
【な、な、何で、知ってるの!】
全身から血の気が引いていくのを感じ、言葉を失った。
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