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番外編 二人の幸せは僕と彼の幸せでもある

「おっ、笹原からだ」 裕貴さんがスマホを耳にあてた。 チラッと何気に柱の時計を見ると時刻はちょうど八時を過ぎたあたり。鳥飼さん間に合ったのかな? 福井さんは、時間にはとにかく煩いって彼が言ってた。八時の約束でも一時間前には事務所の前で待ってなければ会ってくれないって。 「未知さん、他の男のことを考えていると、遥琉に焼きもちを妬かれますよ」 橘さんに苦笑いされ、そんなんじゃないから!慌てて首を横に振った。 「タピオカドリンク?何だそれ?」 「台湾発祥の飲み物で、透明なカップにミルクティーを入れて、底に蛙の卵みたいな粒々のタピオカを入れた飲み物ですよ。若い女性の間でブームになっているんですよ」 和泉さんにご飯を食べさせて戻ってくると、彼と橘さんが何やら話し込んでいた。 一太と遥香は、裕貴さんと柚原さんに抱っこして貰い足をブラブラさせながら仲良く幼児番組を見ていた。 「新たなシノギとして流行っているんだ。福井は鳥飼にタピオカドリンクの店をやらせシノギを稼ぐ魂胆だ。経営がある程度軌道に乗ったら、睦を直参として取り立ててやる、そう条件を出したらしい」 裕貴さんが二人の会話に交ざってきた。 「飲むと思うか?その条件」 「睦を守るためなら飲むしかないだろう」 「そうか」 深く溜め息をつき何気に手元のスマホを覗き込む彼。 「何のコネもなく実力で九鬼総業の若頭まで上り詰めたのに………残念だ」

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