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番外編 七か月後
疲れがどっと一気に押し寄せてきてすぐにでも目蓋と目蓋がくっつきそうになった。でも誰かに見られているような気がして、なかなか寝付かれずにいたら、春冷えのひんやりとした風が部屋の中に入ってきた。
あまりの寒さにぶるっと思わず身体が震えた。
廊下側の障子でも開いているのかな?
子供たちに風邪をひかせる訳にはいかないもの。布団から這い出て、足音を立てないようにそのまま這っていった。
指が一本分入るくらい障子が少しだけ開いていた。閉めようと手を伸ばしたものの、なぜかびくともしない。何度試しても閉まらなかった。
反対側に誰かいて邪魔をしているのだろうか。廊下をよくよく見ると黒い靴下の爪先の部分が見えてきた。
もしかして、遥琉さん…………?
いやでも会合と酒宴の真っ最中なはず。
一太もいるんだし抜け出せる訳がないし。
じゃあこの足は一体誰のなの?
首を傾げていたら勢いよく障子が開いたものだから、後ろに引っくり返るくらい驚いた。
【・・・・・!】
予想もしていなかった人が冷ややかな眼差しで見下ろしていた。彼の足元には護衛についていた三人の若い衆が折り重なるようにうつ伏せに倒れていた。
「しー・・・・声を出すな」
唇に人差し指を立てて一歩ずつゆっくりとその人が・・・・彼が近付いてきた。
「心配するな、気絶しているだけだ」
来ないで‼ぶんぶんと首を横に振りながら後ずさりをした。
怖いなんて言ってられない。
子供たちだけでも何としてでも守らなきゃ。
無駄な抵抗だとは分かってはいたものの、布団の前で両手を広げ、上目遣いに彼を睨みつけた。
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