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番外編 七か月後

「二日前だ。湍水組《はやみぐみ》が鳥飼が経営するクローノに乗り込んで睦を連れ去ったのは。鳥飼もあの通りプライドの高い男だ。福井だけにはどうしても頭を下げたくなかったんだろよ」 「遥琉、裕貴はね………」 「いいんだ」 言葉を続けようとした心さんを止めた。 「心、千里、子供たちを連れて隣の部屋に移動してくれ。遥琉たちに折り入って話しがあるんだ。未知、疲れているところ悪いが少しだけ付き合ってくれるか?」 いつになく真剣な眼差しで見詰められ、こくりと頷いた。 「一太くん、遥ちゃんおいで」 千里さんが手を差し出すと、一太は素直にその手を握り返し、ぴょんと度会さんの膝の上から飛び下りた。 遥香は橘さんの服を掴みぶんぶんと首を横に振った。 「ままたんがいい」 頑なに拒む遥香。やっと心望が橘さんから離れ、独り占めしたくて側から片時も離れたくないみたいだった。 その心望は、僕の腕の中で口をモグモグと動かしながら、愛らしい寝顔を見せていた。 「お利口さんに出来ますか?」 「はぁ~い」 橘さんの問いかけに右手を挙げ大きい声で返事する遥香。ニコニコと笑う姿がなんとも愛らしくて。 裕貴さんもそれ以上は言えなかった。 「湍水組か、また面倒なのが出てきたな」 度会さんが頭をくしゃくしゃと掻いた。 「九鬼が失脚して、湍水組も解散に追い込まれたと思っていたんだが………」 彼も困惑していた。

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