彼の自宅があるのは文教地区にある閑静な住宅街。子供たちが通う小学校と幼稚園へは玄関を出て僅か５分という近さで、すぐ近くには交番があり、ここなら真沙哉さんも安易に強硬な手段には出ないだろうと、橘さんと信孝さんがそんな話しをしていた。 「元をただせば遥琉がしっかり過去の女関係を整理しておけばこんなことにならなかったんだ。面倒見が良くて誰からも慕われ頼りにされるのはいいことかも知れないが、女性に甘すぎるんだ遥琉は。今回の事で本人も猛省していると思うよ。まぁ、裕貴や遼成、それに龍成がついているから、心配することはない。きっちり過去を清算し、真沙哉ともケリをつけて必ず戻ってくるよ」 「そうだよ。遥琉さん、顔は恐いけど愛妻家だし、イクメンだし、それに･････｣ ナオさんが子供たちの顔を覗き込んだ。 ｢こんなにも可愛い子供が四人にもいるんだよ。絶対に帰ってくるって｣ 底抜けに明るいナオさんにつられ、太惺も心望もあーうーと声を出してニコニコと笑っていた。 「そうですよ未知さん」 信孝さんの家に来てから自分の不甲斐なさが情けなくて、落ち込んで泣いてばかりいたけど、励まされやっと自然に笑うことが出来たかも知れない。こんな僕のためにいつも優しくしてくれてありがとう。 それからわずか数分後には、子供たちの笑い声に満ち溢れた、何気ない風景が一変することになるとは………