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番外編紅涙

二人を見下すように冷笑するスカル。袖に手を入れ、何やら取り出した。 「未知伏せろ‼」颯人さんがいち早くそれに気付き大声で叫んだ。 その直後、パンパンと二発鈍い音がして、耳元を何か熱いものが掠めていった。 おぎゃあーおぎゃあー その音にびっくりした心望が火がついたように大声で泣き出した。 「千里、未知を早く連れていけ‼」 彼と信孝さんがほぼ同時に声を上げた。 その時、僕の目の前に一人の少年がすっーと音もなく現れて、両手を広げスカルをじっと見据えた。 「直矢、何してんだ!さっさと逃げろ‼」 「あんたさぁ、か弱い女と赤ん坊しか狙えないの?」 わざと煽るような言葉を並べる少年。 「はぁ?」スカルの顔色が変わった。 「だからさぁ、弱い者をイジメんのそんなに楽しい?ただの逆恨みじゃん。尊ってのに愛されなかったからって、未知にあたることないじゃん」 直矢と名乗った少年は、初めて会うにも関わらずどこかで会ったような気がしてならなかった。意思の強そうな目元が誰かにすっごく似ていた。 「黙れ!」スカルが叫んだ。 「黙れ!黙れ!」 何度も何度もうわ言のように繰り返し、少年に向かって銃を構えた。

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