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番外編 紅涙

スカルの背後から、柚原さんともう一人男性が姿を現し、彼の喉元にナイフを突き付けた。 「撃てるものなら撃ったらいいでしょう」 一度聞いたら忘れられないくらい、胸の奥までよく響く、低く、深みのある声だった。 「尊はな、更正し、今度こそ真人間になり人生やり直したいと自ら望んで出頭したんだ」 「そんなの嘘だ。お前の作り話だろうが」 スカルは一切耳を貸さず、何度も首を横に振った。 「あなたは真沙哉に騙され利用されているだけです」 「そんな訳ない。貴様こそ何者だ?」 「私ですか?今は、鷲崎組の森崎です」 スカルが怪訝そうに眉をひそめた。 男性の顔をしばらく眺めたのち「なるほどな」そう口にし、身を翻し、銃を構えたまま一歩ずつ後退りしながら、あっという間に姿をくらました。 「スカル待て!」颯人さんらが後を追い掛けた。 「女子の顔を狙うなんてあり得ないから」 千里さんが憤慨していた。 「少し血が滲んでるわね。急いで手当てしないと」 ずっと見られているような気がして、チラッと後ろを振り向いた。 「礼はいらないよ、当たり前の事をしただけだから」 【直矢くん?でいいのかな?】 「直矢でいいよ、未知」 にこにこと人懐こそうな優しい笑顔で、ようやく泣き止んでくれた心望を眺めていた。 「直矢、馴れ馴れしく呼び捨てにするな」 「これだから焼きもち妬きは困るんだよな」 「はぁ?」 ドタバタと急いで 戻ってきた彼にやれやれといった表情をみせる少年。 クスクスと信孝さんや柚原さんらが苦笑いを浮かべていた。

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