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番外編 紅涙
「自己紹介まだだったよね、俺、鷲崎直矢。宜しく」
握手を求められ片手を差し出すと、ぶんぶんと大きく振られた。
「未知に会わせてって何度頼んでも兄貴、なかなか首を縦に振ってくれなくてさぁ。会えてすげぇ嬉しい‼」
そんないちいち興奮しなくてもいいのに・・・・なかなか愛嬌のある面白い子。
鷲崎直矢くんか。ん?鷲崎?
そういえば見れば見るほど鷲崎さんに似てるかも知れない。
「そんなに見詰めないでくれる。パパに誤解されちゃうから」
パパって、お父さんの事かな?
今時の若い子の話しに全く付いていけなくて、ポカンとしてしてまった。
「直矢さん、未知さんが困ってますよ。ちゃんと自己紹介をして下さい」
「五月蝿いな、ちゃんとしたろ?」
「あれでは分かりません」
どうも森崎さんが苦手みたいで、面倒くさそうに舌打ちをしていた。
「たく、しょうがないな。鷲崎組・組長、鷲崎覚の甥の、鷲崎直矢です。年は16。これでいい?」
森崎さんは厳しい表情のままで、首を横に振らなかった。
「堅苦しい挨拶が苦手なんだから仕方ないだろ」ぶつぶつと不満を口にしながらも、「いつも伯父がお世話になってます」最後は渋々ながらも丁寧にちゃんと頭を下げてくれた。
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