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番外編 紅涙

ピィッピィッ テーブルの上に置いてある小型の液晶テレビから聞き慣れない音がして、画面に目を向けた。 【ん?速報?】 滅多に流れないテロップに自然と釘付けになった。 《国際指名手配犯・李浩然の逃走の手助けをした犯人隠避の容疑で指定暴力団、湍水組の事務所を家宅捜索していた捜査員が監禁されていた男性二名を発見保護した模様、生死は不明》 これってまさか…… 茫然自失となり、手にしていた皿を落としたことにさえ気が付かなかった。 橘さんに、大丈夫ですか?って声を掛けられて我に返った。 【あのね、橘さん・・・・】 寒くもないのにがたがたと手の震えが止まらない。 保護された男性ってもしかして睦さんなの?生死不明ってことはつまり、生きてるかどうかも分からないって事だよね?聞きたいことが山のようにあって錯乱状態に陥った。 「まずは落ち着きましょう」 心配してくれる橘さんの声さえ耳に届かなかった。 「ねぇ未知、聞いて。太惺くんのおならにね彼・・・・どうしたの?何かあったの?」 戻ってきたナオさんもすぐに異変に気付いて駆け寄ってくれた。 「湍水組の組事務所から監禁されていた男性二人が発見され警察に保護されたようです」 「そんな・・・・・」 ナオさんもようやく状況が飲み込めたみたいで、驚いていた。 「そんなに驚くことでもあるまい。悪事はいつかバレる。真沙哉だって戦々恐々していたはずだ」 お風呂上がりの太惺をバスタオルにくるみ信孝さんが姿を現した。ご機嫌斜めの太惺に半べそをかかれ、やれやれと溜め息をついていた。 「橘、笑って見てないで太惺の面倒をみてくれ」 「すみません」 橘さんに太惺を渡すと、あれだけ半ベソをかいていたのが嘘のようにニコニコと笑顔を見せた。 「やっぱりままたんには敵わないな」 信孝さんがっくりと肩を落としていた。

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