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番外編 紅涙
夜9時の全国ニュースを食い入るように見ていたら、名前を呼ばれてマグカップを手渡された。
「ミルク多めのノンカフェインのカフェオレだよ、まだ熱いかも知れないからよく冷まして」
ありがとう千里さん。にっこりと笑顔で返した。
「湍水組から助け出されたの睦っていう子と、咲さんの《《元》》ダンナさまみたいよ」
元ってことは………?
意味がいまいち分からなくて首を傾げていると、クスリと苦笑いされた。
「まぁ、詳しいコトは遥琉に聞いて。でも、未知にはかなり刺激が強いかもしんないから、止めておいた方がいいかもね」
ナイショとばかりに唇に人差し指を立てた。
「そうだぞ未知。まずは太惺と心望の世話と、自分の体調を優先させろ」
はぁーと肩で大きくため息をはきながら、かなり疲れ切った表情で事務所に行っていた柚原さんが戻ってきた。
テレビをチラッと見ると慌てて何かを探し始めた。
「どうしたの?」
「リモコンは?」
「あれ、さっきまであったんだけど」
つい5分ほど前まで子供達が元気に走り回っていたから、ナオさんが失くなる前にどこかに片付けたのかも知れない。
そうこうしているうち、湍水組のニュースが流れ、続いて耳を疑うようなことが報道されてマグカップを思わず落としそうになった。
僕にはどうしても知らせたくなかったんだと思う。巻き込むわけにはいかない、柚原さんなりに気を遣ってくれたんだと思う。
『指定暴力団龍一家と縣一家の事務所にそれぞれ火炎瓶が投げ込まれ、警ら中だった警察官が近くにいた中国人の男ら数人に職務質問をした所いきなり発砲され意識不明の重体です』
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