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番外編 直矢くんの父親=恋人

「ちょうどいい機会だ。森崎にじかに聞いたらいい、橘との関係を」 遥琉さん、余計なことを言わないで。お願いだから波風を立てないで。 「誰にだって言えないことの1つか2つはある」 さっきまで散々焼きもちを妬いていたのに。引き締まった凛々しい顔付きになっていた。 柚原さんのもうひとつの顔、本部長としての顔だ。 子供たちのあどけない寝顔とスマホの画面を交互に眺めているうち結局一睡も出来ないまま朝を迎えてしまった。 何度確認しても彼からの連絡はなかった。柚原さんと弓削さんが付いているんだもの大丈夫、そう何回自分に言い聞かせたか分からない。 眠り眼を擦りながら、粉ミルクのお湯を貰いにリビングに顔を出すと初めて見る若い男性と信孝さんが何やら話し込んでいた。 「未知さんミルク作っておきましたよ」 哺乳瓶を2つ手にした橘さんが奥のキッチンから姿を現した。 「もしかして彼と会うのは初めてでしたっけ?」 うん、頷くと、信孝さんが男性の肩を軽く揺すぶった。 「ぼさっとしていないで自己紹介くらいしろ」 「あっ、そうだ。えっと・・・・えっと・・・・ごめんなさい。何を言うか忘れちゃった」 エヘヘと愛嬌たっぷりに笑う男性。 僕と同じ二十代くらいかな? 髪は明るめの栗色。目がくりくりしてて、可愛い感じの男性だった。 「彼の名は鷲崎遥。鷲崎の弟で、直矢の父親だ」 え⁉今確か鷲崎さんの弟さんって・・・・ それに直矢くんのお父さんって・・・・ 状況が上手く飲み込めず、目をパチパチしながら二度三度と思わず男性を見てしまった。 どう見ても16才の子供がいるなんてにわかには信じられなかった。

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