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番外編 見えない恐怖

「鷲崎さんに命に代えても菱沼組の姐さんを守れって言われて、どうしていいか分からなくて、信孝さんに相談しに来たんだ」 恥ずかしいのかモジモジしながら、照れ笑いを浮かべていた。 「別に遥が守らなくても、橘がいるし、俺もいる。スカルは神出鬼没だ、いつ何時襲ってくるか分からないんだ。別にいても構わないが足手まといにだけはなるなよ」 信孝さんがはぁ~と一つ溜息をついた。 「ガキの喧嘩じゃないんだ。カタギのお前が首を突っ込む事じゃない。直矢といちゃついていた方がいいんじゃないか?」 「の、信孝さん‼」 項まで朱色に染める男性。動揺して声が上擦っていた。 「未知さん、二人ともお腹を空かせて泣いてますよ。早く行ってあげてください」 信孝さんと男性の会話に全く付いていけなくてポカンとしていたら、橘さんに肩をトントンと叩かれた。 ごめんね太惺、心望。ママすっかり忘れてた。哺乳瓶を受け取り慌てて部屋に戻った。 「ほらママがきたよ、もうなかないで」 一太と遥香がフギャーフギャーと大泣きしている太惺と心望の隣にゴロンと寝そべり、頭を優しく撫でながら懸命にあやしてくれていた。 ん……?いつもと違う泣き方に違和感を覚えた。お腹が空いててもこんな風に怯えたように泣いた事は一度もなかった。 誰かいるの……? 恐る恐る辺りを見回した。 《ままたんか、はれくんぱぱよんできて》 《おとなのひとをよんできて》 緊急事態に備えてあらかじめメモ帳に書いておいたものをポケットから出し一太の手に握らせると、 「うんわかった」パタパタと走っていった。 遥香絶対ママから離れちゃだめだよ。 太惺を右腕で、心望を左腕で抱き上げた。

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