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SS 一太と彼の悪友さん

「聞いたぞ遥琉。愛人とデキ婚だって。しかも相手は未成年って・・・・お前もなかなかなるな」 「あのな遼成、本人の前で、しかも子供がいる前で言うことじゃないだろう。場をわきまえてくれ」 ベビハルを授かり彼との結婚を決めた途端、カフェに彼の知り合いの方が連日顔を出すようになった。みなさん体格が良くて強面の怖そうな方ばかりで………挨拶も毎回ガチガチに緊張しててぎこちなくて。そんな僕とは反対に一太は物怖じすることなくいつも通りマイペースで……… 「ごちゅうもんは?」 あどけない笑顔を振り撒きながらパタパタと駆け寄ると、懸命に背伸びをして男性におしぼりを手渡した。 「おぅ、ありがとう」 一太の顔を興味深そうに覗き込む男性。 「坊や、名前は?」 「いちただよ」 「いちたか、いい名前だ。お手伝い偉いな」 「うん‼」満面の笑みで大きく頷く一太。 「じ~じ、こーひだって」カウンターに戻ってきた一太が、ママ、おじちゃんがくれたよ、そう言って手に握り締めていたくしゃくしゃの万札を渡され、笑顔が一瞬で凍り付いた。 「返す必要はない。貰っておけ」 「そうだ遠慮するな」 彼とおじいちゃんに言われ、お礼を言いに一太と手を繋ぎ男性のもとに向かった。 「未知だっけ?縣だ。宜しく」 右手を差し出されて、おっかなびっくり手を差し出すと、手首をぐいと掴まれ、抗う間もなく胸元に抱き寄せられた。一太はあんぐりと口を開けて男性を見上げていた。 「おい遼成!」彼が思わず声を上げた。

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